死亡慰謝料算定基準の改訂について 弁護士 五十嵐勇

損害賠償額の基準を示す「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤本」)は,毎年改訂があるのですが,先月平成28年版の赤本が当事務所にも届きました。

平成27年版からいくつか変更点があり,今回は死亡慰謝料算定基準の変更について触れたいと思います。

死亡慰謝料とは

そもそも「赤本」に記載されている「死亡慰謝料」とは,交通事故によってお亡くなりになった方が被った精神的苦痛に対する慰謝料と,亡くなられた方の近親者が被った精神的苦痛に対する慰謝料の双方を含んでいます。

なお,このように近親者の慰謝料を含むものではありますが,一般的に,請求する方の人数が増えたとしても,慰謝料金額がそれに応じて増加するわけではありません。

赤本では,亡くなられた方の属性に着目して慰謝料金額を区別しています。具体的には,「一家の支柱」であるのか,「母親,配偶者」であるのか,「その他」なのかという区別です。このような区別の方法が妥当であるかは議論があるところではありますが,現状ではこのような運用がなされています。

変更点

  改訂前 改訂後

一家の支柱

2800万円

2800万円

母親,配偶者

2400万円

2500万円

その他

2000万円~2200万円

2000万円~2500万円

まず,「母親,配偶者」の上限が2500万円と変更されました。

このことについては,過去の裁判例の多くが2400万円~2500万円の水準で判断されていたことが理由として挙げられています。
 次に,「その他」の上限が2500万円になったことについてです。

そもそも,この「その他」には高齢者や若年者といった幅広い方が対象となっているため,幅をもった慰謝料額が設定されています。

今回の変更理由は,過去の裁判例で若年者に関して慰謝料として2500万円を認定する裁判例が増加してきたことが背景としてあるようです。

ご家族がお亡くなりになられた苦痛は,言葉で十分に表現することはできませんし,またそれを金銭的に評価することも困難です。そして,日本の裁判例においては,その金額が低額であるという指摘はかねてからなされているところです。

そのような中で,当事務所としては,できる限りご依頼者様の利益となるよう活動してきたいと考えております。

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