年金の逸失利益性
交通事故によってお亡くなりになった方が年金を受給していた場合、年金の種類によっては、年金についての逸失利益の賠償が認められることがあります。
裁判例上、逸失利益として認められた年金、認められなかった年金の例は以下のとおりです。
逸失利益として認められた年金の例
・国民年金
・老齢厚生年金
・農業者年金
・国家、地方公務員の退職年金給付
・恩給
・国民年金法に基づく障害基礎年金のうち子の加給分を除いた本人分
逸失利益として認められなかった年金の例
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
・障害年金の加給部分
・国民年金法に基づく老齢福祉年金
・軍人恩給
年金が逸失利益として賠償の対象となるかどうかは、①年金の給付の目的(受給権者自身の生計の維持を目的とした給付である場合には否定される傾向にある)、②拠出された保険料と年金の給付との間の対価性(受給権者が保険料を拠出していない場合には否定される傾向にある)、③年金の給付の存続の確実性(給付の存続が不確実である場合には否定される傾向にある)に基づいて判断されます。
なお、死亡事故の場合、亡くなられた方の生活費は事故後かかりませんので、死亡事故による逸失利益の計算においては、生活費分を控除します(その割合を生活費控除率といいます。)。
年金の場合には、生活費に費やす割合が高いと考えられることから、生活控除率を高く設定する例が多くなっています(40%~60%とされているものが多い)。
投稿者プロフィール

- 昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。
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江畑 博之
昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。

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