買替諸費用について

交通事故によって車両が物理的に修理不能な場合や、修理費が車両の時価額に買替諸費用を加えた金額を上回る場合の経済的全損となったことにより、車両の買替えが必要になった場合には、車両時価額が損害となる他、新たな自動車の再調達のための買替諸費用のうち一部の費用が損害として認められています。

車は、一生使用できるものではなく、何年か使用すると買い替える時期が来ることから、事故車両の物理的・経済的全損による買替えのための諸費用は、事故と相当因果関係がない損害とも考えられなくはありません。

しかし、事故がなければ直ちに負担する必要がなかった費用ですので、裁判例上、事故と相当因果関係のある損害として認められています。

 

買替諸費用として、裁判例上認められている費用は、以下のとおりです。

自動車取得税
(ただし、自動車の取得価格が50万円以下の場合には自動車取得税は課税されないので、事故車両の事故時の時価が50万円以下で、その車両と同程度のものとして新たに取得することが認められる車両の価格が50万円以下の場合には、実際に新たに取得した車両の価格が50万円を超えて自動車取得税がかかったとしても、自動車取得税は事故による損害とは認められない。)

リサイクル料金

検査、登録手続費用及び車庫証明費用

自動車販売店の提供する労務の対価に対する報酬(登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料)のうち相当額

・事故車両の自動車重量税の未経過分

 

他方、買替えにかかる諸費用のうち、裁判例上損害として認められていない費用は以下のとおりです。

自動車税、自賠責保険料 

新たに取得した車両の自動車重量税

 

 

買替諸費用に関する裁判例
車両購入諸費用の損害性(東京地裁判決平成26年2月28日)

「被告は、登録手続関係費は事故がなくても車を買い替える時期が到来すれば出費を余儀なくされることから、事故と相当因果関係のある損害に当たらないと主張するが、事故がなければ直ちに負担する必要がなかったものであるから、事故と相当因果関係のある損害と認められる。」

 

自動車取得税の損害性(東京地裁判決平成6年10月7日)

「自動車取得税は、自動車の取得者に対して、取得価額を基準として三パーセントの税率で賦課されるものであつて、まさに自動車の取得に伴う出捐というべきものであり、自動車の買替えに伴う損害と認められる。ただし、損害額の算定にあたっては、新車購入の場合を基礎とすべきではなく、事故当時の車両と同程度の中古車を購入するとした場合を想定して控えめに算定すべきである。」

 

事故車両における自動車重量税の損害性(東京地裁判決平成22年1月27日)

「自動車重量税は、事故車両の自動車検査証の有効期間に未経過分があったとしても、自動車税や自賠責保険料のように還付されることはないから、次のとおり未経過の九か月分に相当する原告車の自動車重量税額は、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。」

 

事故車両における自動車税及び自賠責保険料の損害性(大阪地裁判決平成26年1月21日)

「自動車税及び自賠責保険料については、車両の取得ではなく保持のために必要な費用であり、買換という行為に伴って生じる費用ではないから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない(なお、買換先の車両分ではなくて事故車両自体の自動車税及び自賠責保険料を損害とするのであれば、これらは制度上車検期間未経過分につき還付を受けられるものであり、いずれにせよ損害となるものではない。)。」

 

検査・登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用及び納車費用の損害性(東京地裁判決平成14年9月9日)

「検査・登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用及び納車費用は、販売店の提供する労務に対する報酬であるところ、車両を取得する都度、検査・登録、車庫証明の手続や納車が必要となり、車両購入者が通常それらを販売店に依頼している実情にかんがみると、これらの費用を車両の取得行為に付随するものとして賠償の対象とするのが相当である。」

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江畑  博之

昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。
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