運転免許自主返納について 弁護士 江幡 賢

 高齢者ドライバーによる交通事故

先日、池袋で暴走した自動車にはねられ、母親と3歳の女児が死亡したいたましい事故が起こりました。

内閣府が作成した「平成28年交通事故安全白書」によれば、平成27年末時点での運転免許保有率を見てみると、80歳以上の男性でも45.6%、75歳~79歳の男性だと71.2%と、高齢者の方でも多くの方が運転免許を保有している状態にあります。

また、免許保有者10万人あたりの死亡事故数を比較すると、30代~60代のドライバーによる死亡事故が10万人あたり3.3件~3.9件であるのに比較して、70代のドライバーは5.6件、80代以上になると13.3件になることが指摘されています。

つまり、統計上、30代~60代のドライバーによる死亡事故数と比較して、70代のドライバーによる死亡事故数は2倍弱、80代以上のドライバーは3倍以上もの死亡事故数となっています。

このように、多数の高齢ドライバーが存在し、その高齢ドライバーによる交通事故が相次いで報道される中、運転免許自主返納が注目されています。

 運転免許自主返納

運転免許自主返納とは、有効期限の残っている運転免許を返納することであり、1998年4月に導入された制度です(運転免許の停止・取り消しの行政処分中の方などは自主返納することはできません)。

その後、運転免許証が身分証明書として利用されている実態を踏まえ、運転免許を自主返納した方が運転免許に代わる身分証明書を保有できるよう、「運転経歴証明書」が発行されることになりました。自主返納後5年以内であれば、「運転経歴証明書」の交付を申請することができます。 

 

 

 

 

 (警視庁HPより)

 運転免許自主返納の手続

運転免許の自主返納は、基本的に「管轄地域の警察署」「運転免許センター」で受け付けています。新潟県のHPに掲載されている運転免許返納に関するお問い合わせ先は、以下の通りです。

  • ■警察本部運転免許センター      025 (256) 1212
  • ■警察本部運転免許センター長岡支所  0258(22)1050
  • ■警察本部運転免許センター上越支所  025 (536)3688
  • ■警察本部運転免許センター佐渡支所  0259 (57)5067
  • ■警察本部運転免許センター古町出張所 025 (229)0625
  • ■警察署交通課
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 高齢者運転免許返納サポート事業

運転免許の自主返納を促進するために、各自治体で様々な特典・サポートが受けられる制度が設けられています。

例えば、新潟市では、運転免許を自主的に返納した65歳以上の方に対して、①区バスの運賃割引(運転経歴証明書の提示で半額)、②市内のハイヤー・タクシー運賃の割引(運転経歴証明書の提示で1割引き)といったサポートがなされます。

警察庁の発表では、平成30年に運転免許を自主返納した人は約42万人と、運転免許自主返納は徐々に浸透しつつあるようです。

それでも、新潟県の75歳以上の運転免許返納率は約5%であり、全国の都道府県のうち23位と低調です。

運転免許返納の妨げとなる一番の理由は、やはり、運転免許を返納することによって自動車が運転できなくなるということであり、移動の自由が制限されるという点にあるようです。

運転免許返納後の高齢者の移動をサポートする制度や、運転免許更新時の認知機能検査・高齢者講習等の制度の充実が望まれるところです。

投稿者プロフィール

江畑  博之
江畑  博之
昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。
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江畑  博之

江畑  博之

昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。

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