あおり運転の摘発について 弁護士 江幡 賢

昨今のあおり運転事件

「あおり運転」については、2017年に神奈川県の東名高速道路で、執拗な「あおり運転」の末、ワゴン車を無理やり停止させられた車にトラックが衝突し、夫婦が死亡した事故をきっかけに、社会の注目が集まりました。

また、2019年には、茨城県の常磐自動車道で、高速道路で蛇行しながら「あおり運転」を繰り返し、車を降りるなり相手を怒鳴りつけながら、何度も手拳で殴打するという事件が発生したことも、記憶に新しいところです。

「あおり運転」による事件が社会問題として注目されることに伴い、全国の警察も、危険な「あおり運転」への取り締まりを強化しており、摘発が増加したものとみられています。

 

あおり運転の摘発について

先日、警察庁は、2019年、全国の警察において、いわゆる「あおり運転」(車間距離不保持)で摘発した件数が、前年と比較して2040件増加した1万5065件であったことを発表しました。

2040件増という数字は、前年の約15%増加であり、警察が「あおり運転」の取り締まりに力を入れたことがわかります。また、「あおり運転」摘発の9割以上は、高速道路上の摘発だと発表されています。

2019年に新潟県内で摘発された「あおり運転」の件数は、140件であり、そのうち136件が高速道路だったと発表されています。

あおり運転の厳罰化

現在の道路交通法では、103条1項8号において、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」者を「危険性帯有者」と定め、一定の基準で免許を取り消し、又は6か月を超えない範囲での免許の効力を停止することができるとしています。

「あおり運転」の運転者も、この「危険性帯有者」に該当するとされていましたが、2019年で適用された件数は52件であり、決して「あおり運転」に対する取り締まりの手段として十分であるとは言えません。

昨今の危険な「あおり運転」の取り締まりについては、より厳しい刑罰をもって罰するべきという国民感情が高まりました。

 

そこで、警察庁は、「あおり運転」の厳罰化に向けて、「あおり運転」を定義し、一回の違反で即座に免許を取り消し、さらに懲役刑を設ける内容の道路交通法の改正案を今国会に提出する予定だとされています。

現在検討されている改正案では、「あおり運転」とは、「相手の通行を妨害する目的で一定の違反を行い、交通の危険を生じさせるおそれのある行為」と定義されているようです。

個人的には、「あおり運転」の定義として十分かどうかは疑問を感じますが、いわば「あおり運転罪」の創設により、危険な「あおり運転」を処罰することが可能になるという点では、評価できるところだと思います。

 

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