「オレンジカード」とは? 弁護士 江幡 賢

1 オレンジカード(交通安全指導カード)

新潟県警は、歩行者の法令違反が原因で起きた交通死亡事故が多発していることを踏まえ、2020年9月21日から、違反歩行者に対して交付する「交通事故安全指導カード」というオレンジ色のカードを導入しました。これがいわゆる「オレンジカード」です(以下、「オレンジカード」といいます。)。

オレンジカードは、警察官が巡回中に、信号無視や車道を横断している歩行者などの交通違反を見つけた場合に手渡されるもので、日時や場所などを警察官が書き入れ、違反者に交付されます。歩行者の名前や住所などを記入する欄もありますが、この記入は任意とされています。

オレンジカードの交付は、取り締まりを主な目的としているわけではありませんが、カードの下半分が半券として切り分けられ、警察署に違反内容が届けられることになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新潟県魚沼市HP参照

 

2 歩行者指導の経緯

そもそも、歩行者は本来保護される立場であり、歩行者に対する指導方法次第では、市民からの反発につながる恐れがあるなど、これまで、歩行者に対する直接の指導は難しいと考えられてきました。

しかしながら、新潟県警によれば、2019年に新潟県で歩行中の交通事故で亡くなった36人の歩行者のうち、約9割に当たる31人に、車道への飛び出しなどの法令違反がありました。そこで、新潟県警は、歩行者に対するアプローチが必要だと考え、試行錯誤の結果、歩行者に注意を促す内容を記載したオレンジカードを交付することにしました。

オレンジカードは、2020年9月21日から約4か月間でおおよそ1400枚配布されたそうです。新潟県警によれば、2019年9月~12月の歩行中の死者が16人であるのに対し、2020年の9月~12月の歩行中の死者は9人となっています。

また、2020年の新潟県内の交通事故死亡者は64人となり、68年ぶりに70人を下回る結果となりました。オレンジカードなどの新潟県警の積極的な交通事故対策が功を奏しているのかもしれません。

 

3 ツイッターでの情報発信

新潟県警は、オレンジカードの配布のほかにも、SNSの活用による交通安全対策にも力を入れています。新潟県警は、2020年12月1日から、ツイッターアカウント「ひかるくんの交通安全」を開設し、連日交通事故に関する情報を発信しています。

雪道でタイヤがはまった際の抜け出し方を動画で分かりやすく説明するなど、なかなかクオリティーの高い情報が盛りだくさんですので、気になった方は、是非フォローしてみてください。

 

4 最後に

新潟県警は、オレンジカードの導入、ツイッターでの情報発信など、交通事故減少に向けた積極的な対策をとっています。

私たち市民としても、道路を歩行するときも、車を運転するときにも、交通事故を減らすように心がけたいと思います。

2021年2月4日更新

投稿者プロフィール

江畑  博之
江畑  博之
昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。
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江畑  博之

江畑  博之

昭和56年新潟県燕市生まれ。平成14年新潟大学工学部化学システム工学科へ入学。卒業後、平成18年東北大学法科大学院入学する。司法試験に合格後は最高裁判所司法研修所へ入所し弁護士登録後、当事務所へ入所する。交通事故被害者が適切な賠償額を得られるよう日々、尽力している。

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